2014年10月1日水曜日

編集作業


撮影も無事に終わり、4Kタイムラプス映像の制作も残すは編集作業のみとなりました。

一般的なムービーカメラで撮影した動画の編集であれば、おもむろに編集ソフトを立ち上げて撮影した素材を読み込み、使うテイクを選んでつなぐ長さや順序を調整して…となる訳ですが、4Kタイムラプス映像の編集では、それらの前にやっておかなくてはならない作業が幾つかあります。

ざっと見てみましょう。



1.現像処理(RAW形式で保存した場合)

RAW形式で保存した写真は、現像と呼ばれるプロセスを踏まないと一般的な画像として扱うことができません。そこでまず、撮影してきた全てのファイルに対して現像処理を行い、それと同時に写真の色合いや明るさなどを調整します。

現像作業にはカメラメーカーの純正品やAdobe Lightroomなどの写真向け現像ソフトを使用するのが一般的です。RAWファイルをそのまま扱える動画編集ソフトもありますが、4Kを超える。


2.写真を映像に変換

タイムラプスの場合、当然ですが撮影した素材は映像ではなく個別の写真として記録されます。一部のカメラにはインターバルで撮影した写真を映像に変換して記録してくれるものもありますが、現在のところ4Kには対応していません。

そんな訳で、撮影/現像した一連の写真を並べてひとつの動画ファイルに変換する作業が必要になります。大抵の映像編集ソフトには、連続した画像ファイルをシーケンスとして読み込む機能が付いているのでそれを利用します。


3.トリミングや縮小、カメラワークの追加

撮影した素材の解像度はカメラの機種や設定によって異なります。従って、4K映像(3,840×2,160pixels)として仕上げるためには、素材をトリミングしたり、サイズを縮小して4K解像度に合わせなくてはなりません。

素材の余白を利用した疑似的なパンやチルト、ズームを加えるのもこのタイミングです。場合によっては同時にスタビライズ処理(移動撮影などによる映像の揺れを低減させる処理)を行うこともあります。

本来であればカメラワークの追加やトリミングは前後のカットとのつながりを見ながら編集の中で調整した方がイメージが掴みやすいのですが、余白を残したままの素材は4Kよりもさらにデータが重く扱い辛いため、編集作業には持ち込まずに準備段階で済ませてしまうことをお勧めします。


4.編集作業用ファイルの生成

非圧縮の4K映像をそのまま編集しようとしても、普通のPCではデータが重過ぎて再生すらまともに出来ません。そのため、個人レベルの一般的な編集では、本来の素材とは別に用意した「軽いファイル」を使って作業を行い、編集がひと通り済んでから元の高画質なファイルに差し替えて最終的な出力を行うという手順を踏むことになります。今回のサンプルムービーでは、全てのカットでFull-HDに解像度を落としたH.264/mp4ファイルを用意しました。



これらの作業は、ひとつひとつ順を追って行うこともあれば、いくつかをまとめて行う場合もあります。

例えば、最初に1の現像処理を行って中間素材となる連番のTIFFファイルを生成しておけば、2以降の作業は(PCの処理能力的に)格段に楽になりますが、タイムライン上での色合いや明るさなどの調整(グレーディング)の幅は限定されてしまいます。

逆に中間素材を作らずにRAWデータのままで映像への変換やカメラワークの追加などの作業を行うと、グレーディングの自由度は確保できますが、プレビューなどのレスポンスが大きく低下することになります。

どちらを取るかは状況次第。

4K(またはそれを超える)解像度を持った映像素材を自在に扱うには、現時点(2014年)の標準的なPCではまだまだ能力が不足しています。そのため、常に効率を意識し、状況に応じて柔軟に処理の方法を変えていくことが、4K映像の編集では重要になります。「これが正解」という明確な答えはありませんので、試行錯誤を楽しみながら自分の作業環境に合った方法を見つけて下さい。



さて、素材の準備が整ったところで実際の編集作業に移ります。

…と言っても、ここから先は特別なことは何もありません。上の4で生成した軽いファイルを使って普通に編集をした後に、素材を本番用に差し替えてレンダリングを行えば完成です。フレームレートやビットレート、色の深さなどの設定は、再生環境に合わせてお好みで。厳密に言うと解像度だけではなく、高いフレームレートや色彩の表現力も含めての4K UHDTVですが、とりあえず現時点では解像度さえクリアしていれば「4K」を堂々と名乗って良いと思います。

今回のサンプルムービーでは Adobe Premiere PRO で編集を行い、Media Encoder を使って非圧縮AVI(原版)とH.264/mp4(再生用)の2種類のファイルを書き出しました。具体的な編集やレンダリングの手順については使用するソフトによって異なるため、ここでは割愛します。



以上、カメラ選びから始まって撮影/編集に至るまで、4Kタイムラプス映像の制作手順についてはこれにて一旦終了です。長々とお付き合い頂きありがとうございました。次回からは不定期で(これまでも不定期でしたが…)単発でのレポートをお送りしていく予定です。