2014年5月15日木曜日

4Kタイムラプスのためのカメラ選び(2)


カメラ選びの2回目は、4Kタイムラプス映像を撮影するにあたって「絶対条件ではないけれど、あったらいいな♪」的な機能や性能について、ひとつひとつまとめてみようと思います。微妙に専門的な内容も入ってきますが、よろしくお付き合い下さい。


マニュアルフォーカス(又はフォーカス固定機能)

タイムラプス映像の撮影は、基本的にマニュアルフォーカスで行います。

オートフォーカスの状態でインターバル撮影を行うと、シャッターを1回切る度に自動的にフォーカスを合わせ直す動作が入るため、シャッターを切る間隔がズレてしまったり、映像として並べた時に1枚1枚のフォーカスの微妙な誤差がチラつきやゆらぎとなって現れることがあります。また、撮影条件によってはフォーカスが合いにくい/合わないこともあるため、被写体やアングルの選び方に制約が出てきます。さらにフォーカス調整用のモーターが作動することでバッテリーの消耗が激しくなるなど、タイムラプス映像の撮影に限って言えば、オートフォーカスは百害あって一利なし、無用の長物です。

もちろんそれでも撮れないことは無いのですが、タイムラプスを主目的にカメラを選ぶのであれば、オートフォーカスしかできない(フォーカスを固定できない)機種はあらかじめ候補から外しておきましょう。


マニュアル露出設定

露出設定とは、簡単に言うと「撮影時に行う明るさの調整」のこと。基本的には「シャッター速度」「絞り」「感度」の3つの設定を組み合わせて、撮影する写真の明るさを決定します。

そしてこの3つの設定の全て、又は一部をカメラが判断し、適正な露出になるように自動調整してくれるのが「AE」(自動露出)という機能。この機能、ほとんどのデジタルカメラに標準で付いていますが、全自動の「オート」や「プログラムオート(P)」モードしか選べない機種から、一部の設定をユーザー側で操作する「シャッター速度優先AE(S/Tv)」や「絞り優先AE(A/Av)」が使える機種、さらにはAE自体をキャンセルすることができる「マニュアル(M)」モードが付いた機種まで、その内容はさまざまです。

これについても、できれば「マニュアル(M)」モードが付いたカメラを選ぶようにして下さい。

数秒~数十秒間隔でシャッターを切ることになるタイムラプス映像の撮影では、シャッターとシャッターの合間に光線の具合が大きく変化してしまうような場合が多々あります。明け方や夕暮れ時のように刻一刻と明るさが変わったり、雲の間から太陽が見え隠れしているような状況はもちろんのこと、フレームの中を人や車が横切るだけでも、カメラが判断する “適正な露出” は人間の目が感じる以上に大きく変化してしまいます。

この「変化する光」に対して、シャッターを切る度にAEによる調整を適用するとどうなるでしょうか?

最近のAEは優秀なので、1枚1枚の写真としてはどれも明るさのバランスがとれたお手本的な写真が撮れる筈です。さらに露出補正や測光方式にまでこだわれば、ユーザーが意図した通りの光と陰影が得られたりもします。ですが、これを並べて1本の映像にすると、画面全体の印象は変わらないのに被写体の明るさだけがパカパカと変わったり、逆に背景の明るさがひとコマ毎に大きく変動するなど、非常に不安定で観るに堪えない仕上がりになることがあります。また、モードの選択によっては明るさだけではなくボケやブレの具合までもが変わってしまうこともあります。これらの現象は、AEが時間的な連続性を無視して、常に「その時のベスト」に露出を調整してしまうことに起因します。(スチルカメラの場合。ムービーカメラのAEには連続性が加味されています)

これに対して、露出設定を固定するマニュアルモードでは、1枚1枚の写真で見ると露出がオーバーやアンダーになることがあっても、映像にすると被写体と背景それぞれの明るさに時間的な連続性が出るため、結果として安定感のある自然な仕上がりが得られます。

AEの制御はメーカーや機種によって結構差があり、実際に使ってみると不都合をほとんど感じさせないカメラや、逆に積極的にAEを使った方が良い結果が得られるような場合も無くはないのですが、既に持っているカメラを使うのならともかく、これから新調するのであればマニュアルモード付きのカメラを選ぶようにして下さい。


LUMIX G6 モードダイヤル
Panasonic LUMIX G6 のモード選択ダイヤル


RAW形式での記録

イメージセンサーからの電気信号を単純にデジタル化しただけのデータのことを「RAW(ロウ)データ」と呼びます。フィルムカメラに例えると、撮影しただけでまだ現像が終わっていないフィルムのようなもの。

デジタルカメラで写真を撮ると、カメラの内部ではまずRAWデータが生成され、更にそのデータをJPEGなどの画像データに変換する「現像工程」を経て、出来上がった画像が背面モニタに表示されたりメモリーカードに記録されます。一眼レフやミラーレスをはじめとした一部のデジタルカメラでは、この現像工程を後で行うことができるようにデータの記録形式として「RAW」が選べるようになっています。

この「RAW」形式でデータを記録しておくと、後で明るさや色の補正が必要になった時に非常に楽です。

タイムラプス映像の撮影には、1カットに短くても数分、長ければ半日や丸一日という時間が必要です。そのため、あらかじめ慎重に露出を設定してから撮影を始めても、時間が経つにつれて明るくなり過ぎたり暗くなり過ぎたりといったことがごく普通に起こります。このような場合に、撮影した写真のデータがRAWの状態で記録されていると、明るさや色調を後処理(編集やその準備段階)で調整できる幅が格段に広がります。感覚的にはJPEGに対して3倍ぐらいの幅でしょうか。真っ白に飛んでしまったような空や、真っ暗で何も写っていないような闇も、RAWで記録していれば階調を取り戻せる可能性が高くなります。もちろん明るさや色調だけでなく、歪みの補正やノイズの除去などについてもRAWの方が圧倒的に有利です。

問題は、JPEGで記録する場合に比べてデータのサイズが嵩張ることと、RAW形式での記録ができるカメラが割と高価な機種に限られてしまうこと。また、RAWデータを元に後処理を行う際にはそれなりに性能の高いPCを使わないとかなりのストレスを感じることになります。

そのあたりのことを考えると、徹底して仕上がりに拘る!ということで無ければ、RAW形式での記録はそれほど気にしなくても良い条件かも知れません。でも…やっぱりあると便利です。


次回は「4Kタイムラプスのためのカメラ選び(3)」
「絶対条件ではないけれど、あったらいいな♪」的な機能や性能の続きをお送りします。
 

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