2014年5月19日月曜日

4Kタイムラプスのためのカメラ選び(3)


「絶対条件ではないけれど、あったらいいな♪」的な機能や性能の続きです。


大きめのイメージセンサー

フィルムカメラのフィルムに当たる部分、光を電気信号に変える半導体素子がイメージセンサー(撮像素子)です。方式を元にCMOSやCCDなどと呼ばれることもあります。

イメージセンサーの表面には碁盤の目のように整然と画素(ピクセル)が並んでいます。そしてこの画素の総数で撮れる写真の解像度が決まります。カタログや広告などでよく見かける「○○MP(メガピクセル)」とか「○○万画素」というやつです。解像度というのは自動車に例えると「馬力」のようなもので、その分かりやすさ故に少し前まではデジタルカメラの性能や画質を表す絶対尺度のように使われていました。

しかし、イメージセンサーで画質を語るにはもうひとつ忘れてはいけない重要な要素があります。それが「センサーサイズ」すなわちイメージセンサーそのものの大きさ。自動車でいうと「トルク」や「排気量」に当たる部分です。

以下に、デジタルカメラで使われている代表的なセンサーサイズをまとめました。もちろん他の大きさの物もありますが、現在市販されている一般向けのデジタルカメラの多くがこの図の中にあるサイズのイメージセンサーを使用しています。

デジタルカメラのセンサーサイズ比較


注目したいのは、同じ「デジタルカメラ」でも製品によってセンサーサイズに大きな違いがあること。図の中で一番小さい1/2.3型と35mmフルサイズ型の間には、面積比で30倍以上の差があります。

そしてこの差は多くの場合、ダイナミックレンジの広さやノイズの量の違いとして、撮影した写真の画質に直結します。特に解像度の高いセンサーの場合は、ひとつひとつの画素が受ける光の量が極めて少ないため、センサーの大きさによる画質の差がより顕著に表れます。(当然ですがサイズの大きいセンサーの方が有利。逆にサイズが同じセンサーであれば解像度が低い方が有利になります)

L判からせいぜいA4サイズの大きさでプリントすることがほとんどの普通の写真とは違い、4K映像は60~100インチ前後のモニタでの鑑賞が主体になるため、予算が許す限り、画質面で圧倒的に有利な大きめのイメージセンサーを搭載したカメラをお勧めします。

具体的には1型(1インチ)、できれば 4/3型(フォーサーズ/マイクロフォーサーズ)以上が理想です。さらに星景などの極端に暗い被写体をメインに考えているのであれば最低でもAPS-C以上のサイズ(使用するレンズや解像度にもよりますが)が無いとノイズ的にかなり厳しくなってきます。逆に天気の良い日中の撮影であれば1/1.7型や1/2.3型で十分な場合もあります。


ちょっと余裕のある解像度

タイムラプス映像の撮影が通常のムービー撮影と最も異なる点について考えてみましょう。

それは、「ほとんどのシチュエーションにおいてカメラを完全に固定する必要がある」ということ。

数秒から数十秒間隔で1枚づつシャッターを切るインターバル撮影では、手持ちでの撮影はもちろんのこと、三脚を使ったとしてもパンやズームなどは専用の “ゆっくり動く機材” (後日あらためて紹介する予定です)を用意しない限りほぼ不可能です。その結果、全て又はほとんどの撮影素材がFIXすなわちカメラワークの無い単調なものになってしまうという問題が発生します。

そこはアングルの工夫やカットのつなぎ方でカバーして…という積極的な考え方もありますが、撮影した素材の解像度にある程度の余裕(=余白)があれば、その余白を使って後処理で疑似的なカメラワーク(パン/ティルト/ズーム)を作り出すことが出来ます。実際に、世の中に出回っているタイムラプス映像の多くが疑似的なカメラワークによって成り立っています。もちろん今回制作したサンプルムービーでも多くのカットで使用しています。

しかしSDやHD仕上げならともかく、4Kともなるとイメージセンサーの解像度によっては使える余白がほとんど無いということも起こります。また逆に、上で触れたようにセンサーサイズが同じ場合は解像度が低い方が画質的に有利という一面もあるため、必ずしも余白が多い方がいいという訳でもありません。

以下に、イメージセンサーの解像度別にパン/ティルト/ズームが可能な範囲をまとめましたので、自分なりの「ちょっと余裕のある解像度」を見つけて下さい。


イメージセンサーの余白一覧
 4K UHDTV 仕上げの場合のイメージセンサーの余白
(解像度から算出した値。実際にはレンズの歪みや周辺画質の低下などで制約を受ける場合があります)
 


次回は「4Kタイムラプスのためのカメラ選び(4)」
 「絶対条件ではないけれど、あったらいいな♪」的な機能や性能についてまだまだ続ける予定です…
 

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