2014年5月27日火曜日

4Kタイムラプスのためのカメラ選び(5)


4Kタイムラプスのためのカメラ選び、今日はサンプルムービーの撮影で実際に使用した機種についてまとめます。

今回制作したサンプルムービーでは、3台の市販カメラを使用しました。

  ・Canon EOS 7D
  ・Nikon D800E
  ・Panasonic LUMIX G6

早速ですが上から順に見ていきましょう。


Canon EOS 7D

今回のサンプルムービーを制作するにあたって、テストを含めた初期段階で使用していたカメラ。センサーサイズはAPS-C、有効画素数18MP。レンズは全カット EF-S18-200mm F3.5-5.6 IS を使用。

Canon EOS 7D + タイムラプス用スライダー

EOS 7Dで撮影したカット
EOS 7D で撮影したカット



【4Kタイムラプス的にGOODな点】

 ・手頃な解像度(18MP 5,184×3,456 ピクセル)

【4Kタイムラプス的にBADな点】

 ・インターバル撮影機能なし(リモコンで対応)
 ・やや大柄で重い
 ・AE(自動露出)が少々過敏?


発売から少々時間が経過していますが、デジタル一眼レフの中でも中上級クラスに位置するカメラです。4Kタイムラプス映像の撮影においても基本性能に不足はありません。解像度とファイルサイズのバランスも丁度良い感じです。

このクラスのカメラは信頼性も高く安心して撮影に臨めますが、その信頼性と引き換えに大きくて重くなるところが難点でしょうか。三脚のみの使用であれば特に問題はありませんが、上の写真のようにスライダーや回転台を使う場合は少々気を遣います。また今回、この機種の特性なのか個体差なのかは不明ですが、絞り優先AEで撮影した際に露出がかなりバラつくことがありました。1枚1枚の写真として見れば異常という程では無いのですが、そのまま動画にするとちょっと気になるレベル。日没や日の出を跨ぐ撮影などでどうしてもAEを使いたい場合は事前に十分なテストをしておくことをお勧めします。


Nikon D800E

2014年5月現在、SONY α7Rと並び35mmフルサイズ以下のクラスで最も高解像度のイメージセンサーを持つカメラ。センサーサイズは35mmフルサイズ、有効画素数36MP。レンズは AF-S NIKKOR 70-200mm f/4G ED VR を使用。今回は疑似的なカメラワークのテストとして2カットのみ投入。

Nikon D800E

D800Eで撮影したカット
D800E で撮影したカット



【4Kタイムラプス的にGOODな点】

 ・8Kに迫る余裕の解像度(36MP 7,360×4,912 ピクセル)
 ・インターバル撮影機能内蔵
 ・画質面で有利なフルサイズセンサー

【4Kタイムラプス的にBADな点】

 ・速度的にも容量的にもPCに厳しいファイルサイズ
 ・大柄で重い
 ・お値段


価格的な面も含め、タイムラプス主体で考えると全体にオーバースペックであることは否めません。解像度が高い分ファイルサイズも大きいので、後処理を行うPCにもそれなりに高い性能が求められます。またファイルと同様にボディも大きく重いので、取り回しも良好とは言えません。

しかし、8Kに迫る解像度は後処理でのカメラワークの自由度を大きく広げてくれます。普段は他のカメラを使い、後処理で大きな動きを入れたいカットにのみ投入といった使い方ができれば理想的ですが…後はお財布との相談。ちなみに同じセンサーでもα7Rはミラーレスのため、D800/D800Eと比べるとそこそこ安く入手可能です。


Panasonic LUMIX G6

今回、4Kタイムラプス撮影用に新規購入したカメラ。センサーサイズは4/3、有効画素数16MP。レンズは全カット LUMIX G VARIO 12-32mm/F3.5-5.6 を使用。

Panasonic LUMIX G6

LUMIV G6で撮影したカット
LUMIX G6 で撮影したカット



【4Kタイムラプス的にGOODな点】

 ・必要充分な解像度(16MP 4,608×3,456 ピクセル)
 ・インターバル撮影機能内蔵(連続再生機能付き)
 ・電子シャッター搭載
 ・バリアングル液晶
 ・小型軽量
 ・比較的安価

【4Kタイムラプス的にBADな点】

 ・暗所ではやや辛いセンサー


ここまで挙げてきた「4Kタイムラプスのため」に欲しい要素をバランスよく持っているカメラです。16MPの解像度は後処理でカメラワークを追加するには若干狭く感じますが、サンプルムービーを見て頂けば分かる通り、余裕のある上下方向(チルト)を中心に退屈させない程度の動きは作れます。電子シャッターを使えば、静かに、そしてシャッターの寿命を気にすることなく長時間の撮影が可能。バリアングル液晶や電子水準器など、アングルを決める際に役立つ機能も豊富です。

難点は、感度を上げたり露光時間を長くした場合に出るノイズの量。使うレンズの明るさ(今回使用したレンズは暗め)にも因りますが、センサーのサイズが小さいこともあって、暗い場所での撮影には限界を感じます。サンプルムービーのような明るい街の夜景であれば問題ありませんが、それ未満の明るさとなるとちょっと厳しいかも知れません。


■ ■ ■


以上3台のカメラで撮影を行った結果、最も強く感じたのは「軽い(小さい)は正義」ということ。

以前にも少し触れましたが、タイムラプス映像の撮影では「カメラをどこにどうやって固定するか」ということが重要になってきます。カメラの設置方法として最もポピュラーな三脚は、往々にして通行の妨げになったり、安定して設置できるスペースがないなどの理由から使える場所が限られてきます。三脚禁止の観光地や景勝地も珍しくありません。そんな時、軽くて小さいカメラであれば三脚以外の方法で保持することが容易になります。


Panasonic LUMIX G6 + Manfrotto ポケット三脚


今回のサンプルムービーの撮影では、LUMIX G6との組み合わせで上の写真のような「ポケット三脚」を多用しました。他にも吸盤やクランプを使ったマウントの活用など、カメラが軽く小さければセッティングの幅が大きく広がります。

そんなことも踏まえて、カメラ選びの結論としては「4/3又はAPS-Cクラスのミラーレス」を一押しにしたいと思います。どうしても夜景や日の出日の入りを撮りたくなるのがタイムラプスの常なので、画素数は欲張らずに14MP~18MP。もしも予算が許すなら、あまり重くならない範囲で明るいレンズと組み合わせてあげて下さい。

もちろん多少の不便は覚悟の上で、本格的に画質や表現の幅を追求するなら35mmフルサイズや高画素機、逆にもっと気軽にコンパクトにということであれば、最近増えてきた1インチクラスのセンサーを積んだ製品なども良いと思います。当たり前のことですが「この1台で全てオッケー!」なカメラは存在しません。自分が何を撮りたいのか、それを撮るには何が必要なのか、をよく考えて選ぶようにして下さい。


と、延々と書き連ねて来た割にはありきたりな結論が出たところで「4Kタイムラプスのためのカメラ選び」は一旦終了。次回は、撮影前の準備についてまとめる予定です。
 

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